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先の、大阪府立国際児童文学館廃止問題に関し、思ったことを追記します。

昨日、マンガ研究者の竹内オサム氏からも児童文学館存続問題に関して緊急のお願いメールがきました。実は竹内オサム氏は児童文学館内で行われる手塚関連の展示などにもよく拘わっておられます。

大阪府立国際児童文学館の存在は、一部のマンガ研究者やマンガファンにはよく知られていますが残念ながら関西圏外の人にはあまり知られていないく、マンガ雑誌が多数揃っていることすらも伝わっていません。

「未収録の手塚作品を読みに行く方法は?」という問いに対して、たいてい国会図書館現代マンガ図書館という答えが返ってきますが、児童文学館もほぼ網羅されているのです。少なくとも私が雑誌を探しに行った中では無いといわれたものはありませんでした。まあ、基本未成年が対象ですから、『ビッグコミック』など青年向け雑誌はありませんけどね。しかも現代マンガ図書館は閲覧料、複写料ともに結構な金額がかかるのに対し、児童文学館は閲覧は無料、複写も30円です。(安いとはいえないけれど、現代マンガ図書館の100円に比べれば…。ここは内記さん個人のコレクションだからお金を取るのは当然といえば当然なわけで。)

また、京都国際マンガミュージアムが最近マンガ雑誌の閲覧サービスをはじめましたが、今のところ複写はできません。だから、単行本未収録作品を調べるときはここ以外、私には考えられませんでした。(他に関西圏でマンガ雑誌のバックナンバーを調べられる場所があるなら是非教えていただきたいです。)

もし、府立中央図書館or中之島図書館と統合された場合、実際問題まず70万冊におよぶ蔵書をどこに収容するかというハード面の問題があります。次に宮本氏がブログで指摘されているとおり「マンガ雑誌が府立図書館に受け入れられるか」という問題がでてきます。なるほど児童文学作品や絵本などの「書籍」は受け入れられるでしょう。しかし、「書籍」とみなされていないマンガ雑誌はすんなり受け入れられるでしょうか?ただでさえハード面の問題があるのに。現段階で府立中央図書館や中之島図書館でマンガ雑誌は全くと言っていいほど置いていません。実際統合となった場合、『ジャンプ』『マガジン』『サンデー』『コロコロコミック』といった大量の少年少女雑誌のバックナンバーを中心とする、一般的な公立図書館には「不適合」な資料の扱いが問題になることは必至です。

図書館には、高価だったり絶版だったり一般では入手が困難な専門書籍を多数置いています。それらを無料で閲覧できるのが図書館のメリットであり、こういったことは公共施設でないとできないことです。確かに専門書籍は需要が少ないです。マンガ雑誌も単行本を読んでさらに読みたい人(=マンガマニア)への需要でしょう。でも、だからといってそこにあることに意味がないわけではないのです。それと同じことが児童文学館の存在そのものに言えるのではないでしょうか。橋下知事は何かと「民間では考えられない」といいますが、逆に民間ではできないことをするのが公共じゃないの、と思います。

ところで、こんなことを書いていたら友人から当の話題の国際児童文学館で4月12日(土)に日本マンガ学会 関西交流部会第35回例会が行われるというお知らせがきました。
日本マンガ学会のイベントはたまに出席しています。いつも幹事をやっているのが京都国際マンガミュージアムの研究員・表智之さんです。
内容的にはほとんど手塚関連ではありませんが、毎回コアなマンガファンが集まっています。
(マンガ学会イベントはコアすぎて話についていけないことはしばしば^^;
私は手塚以外のマンガはほとんどわからないので。)
国際児童文学館自体が気になる方はこの機会に行ってみるのもよいかと思います。
ただ、この日別のイベントとかぶっているので行けるかどうか…ただいま思案中です(^^;)
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以前から危惧していましたが、恐れていたことがついに…!という感じです。
大阪府の橋下知事の就任以来、度々繰り返される文化事業切捨て計画発言にイヤな予感がしていたのですが、まさにそれが的中。


橋下知事が20日、吹田市の万博公園内にある大阪府立国際児童文学館を視察し、府立図書館と統合を示唆したというニュース。

毎日.jp
産経新聞

要するに「中之島図書館と府立中央図書館以外の府立施設は不要!児童文学館は切捨てよ!」という話。
まったくもってマスコミ向けパフォーマンスの格好のターゲットになってしまったのが、この国際児童文学館だったというのは実に悲しいし、怒りがおさまりません。

私がこのニュースを知ったのは、以前、大阪府立国際児童文学館で行われた講演でお会いしたこともある宮本大人さんのブログでした。宮本氏はブログ上で、児童文学館切捨ての何が問題なのか、府立図書館や中之島図書館に統合することによりどのような問題が生じるのか、以下の3点をあげ、非常に明快に論じられています。

1.児童文学館は、「児童文学」に限らず、マンガも含めて子供向けの出版物は何でも受け入れている
2.児童文学館の活動は「図書館」のそれには「類似」していない
3.見直しの手法が拙速・強引すぎる


宮本大人のミヤモメモ ■大阪府立国際児童文学館存続運動に賛同します。

非常に長い文章ですが、どうか最後まで読んでください。
まず橋下知事は児童文学館の館の本質そのものを誤解している!
次に児童文学館が収集しているマンガも含めた上での貴重な資料が、府立図書館との合併によって散逸し、最悪の場合捨てられる恐れがある。
この問題点を橋下知事は全然わかっていません。

私はあくまでいち手塚ファン、いちマンガファンに過ぎず、うまく理詰めで論じられないのですが、宮本さんは児童文学館が廃止されるとどうなるのか、きっちり論じられています。だから、この記事を最後まで読んでください。私も宮本さんの意見に全面的に賛同し、大阪府立国際児童文学館の存続をお願いしたいと思います。
また、ミヤモメモにリンクが貼ってありますが、児童文学書評にて国際児童文学館存続のための署名活動が行われています。趣旨に賛同していただける方はどうか是非ご協力をお願いいたします。
太陽の塔(裏側)

大阪府立国際児童文学館。吹田に住んでいたころ私は何度通いつめたことか…!
なぜならここには戦前~現在まで発行された漫画雑誌がきちんと収集保管され閲覧できるからです。
「児童文学」館という名称ゆえに児童文学や絵本を主に扱っている「図書館」だと思われるかもしれませんが、この館の方針は「児童文化をまるごと保存して、研究して、発展させるための施設」なのです。よって、子供向けに発行された本はすべて収集するという意味でマンガ雑誌も研究資料として幅広く収集保管されています

私が主に閲覧したのは『リボンの騎士』、『エンゼルの丘』、『どろろ』、『ガラスの仮面』などの連載誌です。手塚治虫先生はご存知のとおり、書き換えが非常に多い作家で、単行本収録時に必ずといっていいほど書き直し、カットなどの編集を行います。そのため、連載誌とマンガ単行本では内容が異なり、その違いを見つけ追求することもファンとしての楽しみのひとつです。美内すずえ先生の『ガラスの仮面』などはそれこそ未収録が2千ページにおよぶため、それらをすべてコピーしに何日も続けて通いつめました。

国際児童文学館の書庫には明治期の絵本から最近の少女マンガ雑誌にいたるまでの書籍がきちんと年代順に整理されています。そして2階受付で申請すればすぐに閲覧できます。ここまでの規模の優れた施設は関西では他に例がありません。京都国際マンガミュージアムがマンガ連載誌のデータベース化を目指してはいますが、膨大な量ゆえ未整理の部分が多いのです。だからマンガを愛するものにとって、資料としてのマンガ雑誌を研究する者にのとってこの施設は無くてはならないものです。

昨年9月には、ここでマンガ研究者・宮本大人さん北九州市立大学准教授)と『リボンの騎士』の担当編集者であった丸山昭さんとの対談が行われました。過去記事参照。講演終了後、地下の書庫を見せていただきその量と種類の豊富さに感激したのですが、同時に説明をしてくださった職員の、児童書に関する並々ならぬ見識と館に対する深い愛情に感銘を覚えました。もし、国際児童文学館が廃止されれば、膨大な量の研究資料が散逸し、長年ここで働いてこられた職員の見識までもが切り捨てられてしまうのではないでしょうか。

宮本さんのいうとおり「逆に府の負債額の大きさを考えたら、児童文学館を統廃合してしまうことで浮かすことのできる金額で何ができるのか、そのお金を得るために失われてしまうものとは、本当に見合うバランスになっているのか」を皆さんにしっかり考えていただきたいと思います。

にしても

「橋下知事、児童文学館にはマンガもあるんです!
 ああ、もう、直談判してえ。」


に大きく頷いたのは私だけではありますまい(笑)。


【この問題に言及しているブログ記事】
葦岸堂之日々是日々 橋下知事の図書館観
草思堂から 集約って何を?
総合科学部 よろづ取扱い科 本など読まずにバラエティ番組を見て笑ってろ ということか
文教日本史 大阪府立国際児童文学館
備忘録 [お知らせ]大阪府立国際児童文学館存続運動について
新聞マンガ研究所 管理人ブログ 大切な「大阪府立国際児童文学館」の役割
少女漫画ラボラトリー「図書の家」の司書日誌 どうなるの?大阪国際児童文学館
講師伊藤のメモ帳 ■[現場にて]知事に最低限の知性を求める府民運動
みはる日記 ■思わず書き込む
ad-lib-comic’lab? (powered by ? ) 大阪国際児童文学館について知ってほしいこと
ザ・フィンラン道! 大阪の国際児童文学館存続運動
utashiro’s drops 本日のutaウタシロの創作紹介サイトutashiro’s dropsのウタの日々の雑記。  本の海・アナウンス
虹の終わる場所へ~「SUDOYAN'S SPACE」出張所
何でも「廃止」すればいいってもんじゃないだろうがっ!

Juniperのかほりに誘われて 国際児童文学館
pippin2の子どもと本とおうち 大阪国際児童文学館
電気仕掛けの夢見がち  大阪府立国際児童文学館について@テヅカ的徒然
faye-y的毎天 なんだかな
署名のお願い
lacopen blog βversion 大阪府立国際児童文学館存続にご協力お願いします
日常の輪郭(子どもの本の日記) 大阪府立国際児童文学館
アミーニの絵本放浪記 大阪国際児童文学館存続のため
Communication Breakdown [文学][漫画]大阪府立国際児童文学館存続のための署名運動
[文学][漫画]大阪府立国際児童文学館存続のための署名運動・その2
Comic aliveⅡ 大阪府の文化施設ピンチ
宇宙(そら)のゆりかご・地にふたば もったいない・・・
マンガ論争勃発のサイト 大阪府立国際児童文学館存続の危機
岡山県議会議員 横田えつこ 署名のお願い
マンガ狂時代 大阪府立国際児童文学館は「やればできる子」
あしたはこっち? 大阪府立国際児童文学館存続についての要望
ミュージアムの小径 [情報]大阪府立児童文学館存続運動
ちょっと変わった司法書士の毎日 大阪府立国際児童文学館も存続の危機
童話を書く 大阪の童話
(随時追加します。トラックバック受け付けます。)

mixi 大阪府立国際児童文学館
三休橋筋愛好会からお知らせいただきました。
NHK「かんさいニュース1番」で月ごとに特集されていた「なにわの筋と通」がスペシャル版で放映されます。
ガス燈


「なにわの筋と通 スペシャル」
NHK総合 3月21日(金)午後7:30~8:44

御堂筋・谷町筋・本町通・長堀通・・・。大阪の町を南北に走る筋と東西の通り。人々が親しみを持って呼ぶ単なる「道」以上の存在。それが「筋と通」です。「御堂筋が実は昔、幅6メートルの細い道だった」。筋や通の名前の由来から歴史をたどり、思わず「へぇー」とうなる発見があるものや、筋と通に対する大阪の人々の思いなどを取り上げ、さまざまな視点から「なにわの筋と通」と題して「かんさいニュース1番」で2年間にわたり放送してきました。
今回は「なにわの筋と通スペシャル」としてこれまでのリポートを再構成してお伝えします。ゲストは英語落語などに取り組む桂かい枝さんと、大阪出身のピアニスト西村由紀江さんを迎え、2人にとってゆかりや思い出のある筋や通のエピソードを交えながら訪れます。「筋と通」を見つめることで「なにわの今」が見えてきます。


【再放送情報】
4月21日(月)午前0:20~1:04
天満屋ビル

「まちかどの近代建築写真展」が今年も大阪港の天満屋ビル開催中です。天満屋ビルでの開催は3度目今年のメインテーマは全国の煉瓦建築だそうです。



「まちかどの近代建築写真展 IN 大阪Ⅲ」(第12回)
●全国の煉瓦建築 「海岸通建物語3」関連企画

会期:2008年3月15日(土)~4月19日(土)
    3月15日は14時から/4月19日(土)は14時まで
会場:天満屋ビル2階「お茶と雑貨のハaハaハa」
    大阪市港区海岸通1-5-28 東展示室
時間:7:30~18:00 土・祝は11:00~18:00(定休日:水曜、日曜)
主催:お茶と雑貨のハaハaハa
企画:まちかどの近代建築写真展実行委員会
協力:近代建築探訪メーリングリスト



まちかどの近代建築写真展

去年の様子はこちら
まちかどの近代建築写真展

少し後になりますが、関連企画として、お隣りの三井築港ビル・ステムギャラリーでは「海岸通物語」も始まります。旧住友倉庫(築港赤レンガ倉庫)にスポットをあてたイベントも開催されます。


海岸通物語 3
2008年4月1日(火)~4月15日(火)
午後1時~6時 日曜休廊
会場:ステムギャラリー
入場無料

酒井一光氏(大阪歴史博物館学芸員)講演
   4月12日(土)  午後3時「もうひとつの赤煉瓦倉庫」見学ツアー(定員20名)
            午後4時「赤煉瓦建築の見方・楽しみ方」(定員30名)

   要予約 お茶・お菓子付き 参加料1000円

日替わりトークショー(午後7時-9時)
   4月2日(水) 円満字洋介氏「水上庭園天保山への時間旅行」
   4月4日(金) HAZEL.A氏「ポップアップカードを作ってみよう」
   4月8日(火) 岩根正尚氏「大阪港と住友倉庫」
   4月10日(木)  八木圭子氏「藤井厚二の住宅・八木邸」

   要予約 お茶・パン付き 参加料1000円

築港赤レンガ倉庫

知人の近代建築ブロガーが何人もかかわっている展示会だったので、私は初日に拝見してきました。まだまだ知らない建築がたくさんあるなあ。だから近代建築は楽しい。

天満屋ビルハaハaハaの名物ハヤシライスを食べた後はまち歩き。今回の展示のために東京から来られた方も何人かいたので、築港赤レンガ倉庫を見たあとは、九条に出てそこから西区の近代建築を見て歩くことにしました。

メンバーの中に『大大阪モダン建築』を持ち歩いてくださっている方がいて嬉しくなりました。『大大阪モダン建築』はジュンク堂書店でも平積みしているし、高麗橋野村ビルのお店のレジなんかにも普通に売っていたり、ラジオや新聞、雑誌でも本の紹介がされていて予想以上の反響です。

この本の中で私が提供した写真は少しだけなのですが、ちょうど今回のまち歩きで川口基督教会にも行ったので、『大大阪モダン建築』掲載と同じ写真を載せておきますね。
川口教会

川口教会