手塚治虫記念館

11月3日と5日、手塚治虫記念館でおこなわれた夏目房之介さんの講演に行ってまいりました。「夏目の目」が至近距離で聴ける♪♪♪しかもテーマは手塚治虫!
ということで大変楽しみにしておりました。

11月3日。
朝9時半から整理券を配布ってことだったのですが、予想通り(というか予定どおり・笑)起きれず昼の12時に宝塚に到着。「8時40分に記念館に到着しました」と金沢みやおさんから携帯メールがきたのにはたまげました(^^;)名古屋の粂さんも朝から来てはるし…みなさん、気合いはってますねー。
手塚治虫記念館


11月3日手塚治虫誕生日記念「手塚マンガはやっぱり面白い」

前半の手塚治虫の生い立ちで印象に残ったのは、
『新宝島』が40万部売れたといわれているが、それは手塚治虫がそう言ったからで当時赤本がそんなに出るわけがない
って話(笑)。

それから、父・手塚粲氏が神戸のカメラ同好会に所属していて、神戸のユダヤ人教会を見ていた。手塚治虫は異常に記憶力のいい人なのでこれがのちの『アドルフに告ぐ』になったのではないか、という話です。
『アドルフに告ぐ』については手塚ファンマガジン(手塚ファンクラブ会誌)で、元・アシスタントの福元一義さんが裏話をされていたのを思い出しました。(会誌vol.187~189)この連載の中で福元さんはカウフマン邸のモデルになった異人館(風見鶏の館)と、表向きはドイツ人クラブで、事実上ナチス党の日本支部となっていた「クラブ・コンコルディア」について書かれていましたね。
で、私は虫マップの次回の連載ネタのために先日神戸三宮を歩いてみたのですよ。風見鶏の館は観光地としてあまりに有名ですし、カウフマン邸のモデルということは随分以前から気づいていましたが、「クラブ・コンコルディア」がもしかしたら残ってるのではないか?と淡い期待をもって…。しかし山本通り2丁目(※『アドルフに告ぐ』1巻のクラブ・コンコルディア初登場シーンでそう書いてあったので)を歩いてみたものの、それらしき建物は見つかりませんでした。まあ、ネット検索で出なかった時点で無理だとは思っていましたが…。ユダヤ人教会って今あるんかな~?もし残っているのなら、それも是非見たいものです。

と、話題がそれてしまいましたが…
今回の講演のメインはやはり浦沢直樹氏の『PLUTO』。
『鉄腕アトム』「地上最大のロボット」が原作になった作品であるのと当時に、手塚そっくりな絵から始まって大友克洋の影響を経た浦沢氏がまた手塚治虫に戻っていったという意義付けをできる作品でもあります。

取り上げられたのはロボット刑事・ゲジヒトがロボットの女性に夫の死を知らせにいくシーン。
「これは名場面です」と夏目先生。
このロボットの奥さんは旧式ロボットという設定で顔に表情が無い。マンガだから当然表情を記号的につけようと思えばつけられるのだが、浦沢はそれはやらない。奥さんが夫の死を知らされたとき、ロボットだから悲しいという感情があるのか、といえばそうでもない。しかし悲しくないといえばそういうわけでもない。そのロボットとしての喪失感を表している秀逸なシーンである。表情の無い顔を映画のモンタージュのように並べているだけなのに、読み手は切なくなる。そこに高度な心理描写がある、と指摘されていました。

またロボットの奥さんは明らかに『火の鳥』のロビタを意識したもの。『火の鳥』未来編を紐解いてみると、ロビタが無表情に並んでいるシーンがある。浦沢さんはこのシーンを意識したわけではない、と言っていたが「すり込み」として手塚マンガが浦沢作品に「遺伝」したものである、と。

その意味で手塚治虫は心理描写の天才でもあったと夏目先生はおっしゃっていました。

もうひとつ、本講演で印象に残ったのは、手塚作品におけるコマ割りの面白さ。

読み手の視線は自然に人間(キャラクター)の目にいく。これを「視線誘導論」と言っているそうです。
『ルードウィヒ・B』のにおいて、大きな絵の上に小さな絵を何枚も積み重ねているようなコマ割りをしたり、目線が振り子のように流れるようなコマ割りをしたり。手塚先生はこのようなコマ割りテクニックにおいては天才的だと。そしてこのような独自のコマ割りは縦書き文化の日本だからこそ生まれたもの。

大友・浦沢は効率的で無駄がないコマ割りをするのに対し、手塚は遊びに近いコマ割りをする。手塚治虫は長年のマンガ家生活の中でコマで遊びつくしている。

「何か質問がある方」と新館長の岩崎さんがおっしゃったのですが、こういう時、私は気の利いた質問が思い浮かばないんですよ。やっぱりこういう場ではアホな質問したくないじゃないですか(^^;)そうしてまごまごしているうちに結局質問しそこねるという…。
で、私が思いあぐねているうちに金沢みやおさんが挙手されました。

金沢さん「電気メーカーの人間として、このシーンは、ロボット同士が、重要・微妙な情報交換を、言語によらない無線や赤外線によるコミュニケーションで行っていると見た。本人認証や暗号化された情報交換が無言のうちに行われたに違いない。それを数コマで伝達してしまった浦沢氏を凄いと思ったが、だれもそういう風に言ってくれない。どう思われるか?」

夏目先生「それは考えなかった。後のシーンで、メモリの組み込みにより微妙な情報が伝達されているから、それは違うのでは?。ロビー奥さんは旧式ロボットだから無線の通信機は内蔵してないと思うし、文系タイプの浦沢氏もそれは考えてなかったのでは」

金沢さん「ありがとうございました♪」

というところで、前半終了。続きは明後日。

アトムビジョンを出たところで、夏目先生に緊張しながらご挨拶。とりあえず、顔だけは覚えていてくださったようで光栄の至り。しかも「上でお茶でも…」とお誘いいただき♪♪♪
「いいんですか!?」とめっちゃミーハーに舞い上がってしまったのりみでございました(*^^*)
で、マンガファン8人くらいで2階のジャングルカフェで1時間ほど歓談。金沢さんは夏目先生の著書にイラスト入りでサインをいただいて喜んでらっしゃいました。私は新館長の岩崎さんと名刺交換。(5月に村上さんから岩崎さんに替わったそうです)

あと、手塚治虫メーリングリストのオフ会の際、買い損ねた「珈琲は黒い魔女」のマコちゃんコーヒーを購入♪
珈琲は黒い魔女

カフェで夏目さんがFMロッカーさんに「手塚治虫と小林一三の関係ってのもおもしろいんだよね」と話されているのを横で聞いていたのですが、詳しくは進展しませんでした。
手塚治虫ゆかりの地研究者としては、むしろそっちのお話をもっと詳しくお聞きしたかったんですけどね~。しかも私は手塚マニアであるのと同時に阪急マニアでもありますので(^^ゞ機会があればそんなお話をできれば嬉しく思います。

夏目先生たちが帰られた後は、さらに金沢さん、粂さん、私達夫婦の4人で宝塚ホテルの喫茶店へ。2時間くらい手塚マニアトーク。(これって手塚MLのプチオフ会やん・笑)粂さんは記念館に10時に到着。整理券をゲットした後、神戸の鉄人プロジェクトの「三国志展」に行かれたていたそうです。それで2時前にまた宝塚。うーん、相変わらずアクティブですね(^^)そういえば、神戸が横山光輝先生の故郷って初めて知りました。私は『三国志』全60巻を中学2年の時に完読したきりです。『三国志』懐かしいな~。

余談ですが、宝塚ホテルに行く理由。ここも手塚治虫ゆかりの地のひとつであるのと、ここの喫茶店比較的ケーキセットが安い上にコーヒー紅茶がおかわり自由なのです♪だから手塚ファンが4人以内のオフの際は帰りにたいてい宝塚ホテルに寄ります(^^ゞ

というわけで、5日のレポートはまた後日。
(次回へ続く)
手塚治虫記念館



夏目房之介さんのブログに本講演のレジュメが掲載されていますのでご参照に。
それから手塚治虫記念館で夏目先生が作ったアニメ後日談が載っています。
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