手塚治虫文化賞10周年展

11月5日は11時半に記念館に到着。金沢みやおさん、牧人さんと合流。一昨日は前から2列目でしたが、今日は最前列のど真ん中に座ることができました。

手塚文化賞10周年記念「マンガとは何か」

まず、図版としてあげられたのは石森章太郎の『ファンタジーワールド ジュン』。これは月刊誌『COM』というマンガマニアのための雑誌に連載されたもので、セリフの一切無いマンガであった。
また永島慎二の『青春残酷物語』を見てみると、こちらも非常に実験的なコマ割をしている。

手塚治虫はもともとライバル意識が非常に強い人なので、石森や永島の人気に嫉妬する。これが手塚治虫の手塚治虫たる所以。「これなら俺にも出来る」と本当にそのような実験的な要素を取り入れたのが『火の鳥』未来編であった。

以降、手塚作品にはめずらしいコマ割りが頻出するようになる。そして手塚は最後までユニークなコマ割りを続けた。

例にあげたのは『火の鳥』未来編のワンシーン。ロックが幹部たちと会議をしているシーン。

なんと!渦巻き状のコマ割り。これは非常にめずらしい。
また、その右ページを見ると透明なテーブルの下からカメラアイが撮っている、というアングル。テーブルを囲んで喋っているのに、幹部の顔全員が真正面から見えている。これは実際にはありえない、映画では撮れないもので、そこにマンガ的なウソが無いと描けないシーンでもある。(浦沢が同じシーンを描くとテーブルの下から描いた場合は鼻の穴が見えることになる・笑)
手塚治虫文化賞10周年展
次に手塚漫画がマンガ的である例としてあげられたのは『陽だまりの樹』。これは大人向けの作品で、絵も比較的シリアスだが、足が極端にひらいて走っていたりする。これは手塚が歌舞伎の様式のように意識的に描いたもの。マンガ的な要素がつまった丸いキャラクター(ディズニーっぽい絵。大友のような骨や筋肉的でない絵)でありながら、シリアスに悩み、死ぬのが手塚漫画である。比喩的に言うとディズニーのミッキーマウスでユダヤ人問題を描いちゃうようなことをやったのが日本のマンガ界において起きてしまった。

また手塚漫画では、コマにぶらさがったりコマを突き破ったりするシーンもある。こういう遊びをアバンギャルドではなくエンターテイメントに出来たのが手塚治虫である。

さらに、コマが自由自在に動かす発展形として生まれたのが少女マンガという分野。少女マンガのコマは線が消えたり、コマの中にさらに窓のようなコマを描いたりしている。普通このようなコマを描くと読みにくくなるのだが、少女マンガはそれを平然とやる。

最後に図版として取り上げたのは『ルードウィヒ・B』で音楽性の構築性を絵にしたシーン。これを見て夏目先生は仰天された、とおっしゃっていました。普通なら五線譜に音符が並んでいることで音楽を表せるのだが、手塚はまるで建築物を描くような描き方で音楽を表す。という手塚漫画のすごさ、という話で本講演終了。

今回の講演を聞いて思ったのは、やはり夏目先生のマンガ論は読む側ではなく、描く側の視点ならではのものだな、と思いました。すごいですね!「夏目の目」は!

夏目先生は講演後、すぐに東京に戻らねばならない、ということで質疑応答時間なし。夏目先生に何質問しよう、と前日にずっと考えていたのですが残念(^^ゞそういえば金沢さんがミクシィで「ミーハーな質問を思いついた」と言っていたので、「何質問しようと思ったんですか?」と尋ねたところ
『PLUTO』3巻でウランちゃんが「私の担任の夏目先生に」って言うシーンがあるんだけど
って言ったのでその場にいた全員大爆笑。

金沢さん!その質問いただいちゃいます(笑)。8日の浦沢先生のトークで質疑応答時間あったら聞いてみます(笑)。
あと『PLUTO』で最初に殺される「田崎純一郎」ってのが私は個人的に気になってるんですがね(^^ゞだってマンガでフルネームで登場する場合ってたいていモデルがありますもん。夏目先生が『めぞん一刻』の惣一郎さん(管理人の亡くなったダンナさん)が実は編集者がモデルと言っていたのには笑いました♪

我ら手塚ファンと記念館スタッフで夏目先生をお見送りした後、残ったメンバー6人で花のみちセルカの喫茶店へ。マンガ評論家の村上知彦さんもご一緒でした。村上知彦さんのことはもちろん著名な方ですので、随分以前から存じ上げていましたが、2003年に岡町で私が企画に携わった講演「親友が語る手塚治虫の少年時代」にお越しくださり、その様子を新聞に書いてくださったことがあります。そういう縁で知り合うことが出来、日本マンガ学会のイベント等でも度々お会いする機会がありまして。さらに、村上さんは手塚ファンクラブの会員でもいらっしゃるので、私の連載も読んでくださっているとのこと。なんとも光栄なことです。

5時に宝塚で解散。帰りに梅田の阪急グランドビル30階の紀伊国屋に寄ったら、「えむえむ通信」が置いてあったのでもらって帰りました。

というわけで、なんとかレポート完結(^^ゞふう、長かった~。のりみ、頑張りました(笑)。
さて、本日は浦沢直樹氏のトークです。先月は建築づくしだったけれど、今月は本当に漫画づくしの11月になりそうです(笑)。



夏目先生、貴重な講演をどうもありがとうございました。また24日の講演も楽しみにしております。


その日の晩はNHKの「ラストメッセージ」こどもたちへ 手塚治虫
を見て泣きました。冒頭で大森先生のお姿を見て、生前の大森先生を偲びひたすら涙がとまりませんでした。そして、初めて見る手塚先生の講演ビデオ…!附属池田小学校に手塚先生の絵が飾られているってのも初めて知り感激。いつか見に行けたら、と思っております。
手塚治虫文化賞10周年展

手塚治虫文化賞10周年展
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