6月17日。手塚治虫記念館で行なわれたこ中野晴行氏によるミュージアムトークを聴きに行ってまいりました。中野さんとお会いするのは、4月に京都国際マンガミュージアムで行なわれたえむえむ連続講座に続いて今年2回目。
リボンの騎士


「少女たちの夢の世界~少女マンガと宝歌劇~」

母の影響で幼少期より宝塚歌劇を観て育った手塚治虫。その作品、特に少女漫画にはタカラヅカの影響が色濃く、その代表として有名なのが『リボンの騎士』です。しかし、あれだけタカラヅカとの関係を言われている『リボンの騎士』何故か宝塚歌劇としては上演されたことがありません。

「いったい何故だかわかりますか?」と中野さん。

「FC会誌を読んでいる人はすぐわかっちゃうんだけど…」と言葉を濁す中野さんの視線が明らかにこっちに向いているのですが、挙手できず。ハイ、すみません(^^;)

「答えはいたって簡単。サファイアが女だからです。

えっ?なんで?


別にいいじゃん、女でも、と普通は思うところだけど、これが違うのがタカラヅカ。

70年代の『ベルサイユのばら』初演当時、主役はフェルゼンやアンドレでした。それはタカラヅカの舞台は男役が輝かなくてはならない、女性が求める「理想の男性像」を体現するような役でなくてはならなかったからです。タカラヅカの舞台において、娘役はあくまで男役の相手であり、主人公は男性でなければならない。ところが、『リボンの騎士』では、サファイアの相手であるフランツが…全然格好良くないんですね(^^;)サファイアが亜麻色のカツラをかぶっているだけでサファイアと気づかないダメな王子(普通気づくよ・笑)。ましてや、フランツを主人公にはできえないわけです。

少女漫画家たちによって描かれている、優しくてナイーブで繊細な男性像は女性作家たちによる少女漫画から生まれたものであり、その気持ちは男性である手塚先生にはわからなかった、描けなかった。サファイアは、普段は男の子の格好をしているけれど、根はやはり女の子。(そのへんがオスカルと全く違うところ)

中野さんによると「手塚治虫後に続いた少女漫画家たちが描いた理想の男性像は、リボンの騎士からヒントを得たものではなく、むしろ、影響を受けたのは手塚治虫の少年漫画。(萩尾望都さんが一番に上げている作品は『新選組』)手塚漫画における理想の男性像はむしろ、ブラック・ジャック、やロックなど少年漫画のキャラクターにおいてこそ開花したのではないか。」とのこと。

「手塚キャラの中でもとりわけ女性に人気の高いハーフの美少年・ロック(中野さんの説によると、モデルは宝塚スターの葦原邦子である、とのこと)こそ、宝塚歌劇の刷り込みによる理想の男性像―中性的なキャラクターはないか。手塚先生はずっと宝塚歌劇を観ていたので、刷り込みとして理想の男性像を描こうとすると、どうしても女性的なキャラクターになってしまう。それを裏づけるのが94年に宝塚歌劇で安寿ミラ主演の「ブラック・ジャック -危険な賭け-」。今まで宍戸錠、加山雄三などが実写で演じてきたB・Jだが、どれもしっくりいかなかかった。ところが、安寿ミラが演じるとB・Jはまさにはまり役。」

そういえば、原作では全然格好良くないフランツですが、アニメ版では、フランツってロックでしたよねー。そういう意味では、アニメ版のフランツは随分出番も多いし原作よりうんと引き立っている。原作も最初からロックだったら違ったのかなー。原作のなかよし版ではフランツよりダメ王子のフランツよりブラッドのほうが明らかにカッコイイんですよね。でもリボンの騎士の舞台化作品では、ブラッドはほとんど登場しない(^^;)来年のアニメ映画にそのへんちょっと期待したり♪

最後に中野さんが例にあげたのは、「エリザベート」。宝塚歌劇においてベルサイユのばらを超える人気作とも言われています。宝塚版では死の帝王トートとエリザベートとの恋物語になっているが、実はウィーン版ではトートは単なる死の象徴。そこに恋愛をからめ、「愛と死のロンド」の歌が加わったのは、日本に輸入された際に書き換えられた設定。つまり、タカラヅカにおいてはやはり男性が引き立たなければならないわけです。

時が変わるにつれて、漫画界もどんどん変わり、少女漫画もいわゆる理想の男性を描くものだけでなく、リアルな男性を描いたりするものも。ある意味マンガはどんどん現実の世界に寄ってきているのですが、でも、「タカラヅカだけは夢の世界であってほしい。変わらないのがタカラヅカであってほしい。」と締められました。
講演後、中野さんを囲んでしばし歓談。東宝版「エリザベート」の山口祐一郎トートの話や、手塚ファン大会の話や、手塚ゆかりの地の話や、今後の手塚関連の動きなどなど。
最新著書である『謎のマンガ家・酒井七馬伝―「新宝島」伝説の光と影』にサインを頂戴しました。
酒井七馬伝

酒井七馬の似顔絵を描いてくださいました。
酒井七馬伝

金沢みやおさんは『そうだったのか手塚治虫』と『酒井七馬伝』両方にサインをいただき、それぞれの本に手塚治虫、酒井七馬の似顔絵。



2階の企画展を鑑賞後、手塚MLメンバーで手塚プリクラ撮影(笑)。
プリクラ

プリクラ待ちの間、神経衰弱のゲームが出来るようになっていました。
プリクラ

その後、さらに宝塚ホテルの喫茶店で駄弁っておひらき。
最近手塚度が下がり気味(=私のブログのトップページから手塚な話題が消えている^^;)だったので、久々の手塚イベント。楽しいひとときでした。


今回のレポートを書いている最中に読んでちょうど内容にリンクしたので、ご紹介。
リボンの騎士とタカラヅカといえば、サファイアファン必見のサイト「銀色の王国」rikansさんのブログに現在上演中の「エリザベート」の詳細レポートが。「エリザベート」は私は随分以前に宝塚版と、東宝版の2回見ただけなんですが、見た後ず~っと「愛と死のロンド」がリフレインするくらいハマりました。特に祐一郎トートにはまったタイプ。内野トートのほうは見たことがないので、中野さんに「どう違うんですか?」と聞いたら「内野トートはなかなかスリリングなんです。音がたまにはずれる(笑)。」
そうですか(笑)。それは是非DVDを見なくては。
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://norimi.blog45.fc2.com/tb.php/200-d371c2e5