国際児童文学館1

「今日行かなかったら一生後悔する」
そう思って無理やり予定をあけて、大阪府立国際児童文学館に行ってきました。

大阪府立国際児童文学館は、来年3月末日(予定)をもって廃止、所蔵資料は府立中央図書館(東大阪市)に移転されます。
その準備作業のため、12月28日(月)から休館します。
(国際児童文学館HPより)


すなわち12月27日が事実上の閉館日でした。

橋下府政の財政改革によって廃止問題に揺れて1年半あまり…。
廃止案が出てから閉館まで本当に早かったと思います。

国際児童文学館2

私が最初に国際児童文学館に行ったのはいつだったか。
記憶が定かでないのですが、小学生の頃、絵本作家のディックブルーナーさんの講演会があり、家族揃って行ったことがおそらく最初だったように思います。
ディックブルーナーさんからサインもいただきました。

また、大学生の頃は『リボンの騎士』や『エンゼルの丘』や『ガラスの仮面』の未収録ページをコピーするためにここに通い詰めたものでした。
漫画雑誌がこれだけの規模で揃い、さらに閲覧やコピーができる施設は、関西では唯一といってよいものです。
古くは明治時代の書物から現在の子供雑誌まで、時代やジャンル別に収集保管してきたアーカイブは全国に誇れるものです。

「児童文学館はマンガ喫茶だ」という心無い書き込みを何度もネットで見ましたが、収益を得るため時代の流行だけを追って収集しているマンガ喫茶と「発行されたすべての子供向け書籍を文化財として保存収集する」という児童文学館では、何もかも根本的な理念が違います。そして、それは公共施設だからこそできるものであり、営利目的では到底成り立たないものです。

国際児童文学館3

27日は最後の日とあって、閉館を惜しむたくさんの人や報道関係者で賑わっていました。
2階の閲覧室は満員状態!
知的なトークが最高に面白い学芸員Dさんの書庫ツアー。
最後の回に参加することができました!
『少年サンデー』と『少年マガジン』の創刊号や『鉄腕アトム』の付録にため息。
もう、二度とここに来る事はないんだ、もしかしたら館の職員の方たちとも会う事はないかもしれない、そう思うと涙がこぼれて仕方がありませんでした。

国際児童文学館4

国際児童文学館5

手塚治虫コーナー。

国際児童文学館手塚治虫コーナー1

これは、2008年朝日新聞主催の手塚治虫文化賞の特別賞を受賞した記念に作られたものです。
しかし、授賞式に大阪府の関係者は来なかったそうです。なんとも皮肉な話。

国際児童文学館手塚治虫コーナー2

国際児童文学館手塚治虫コーナー3

国際児童文学館手塚治虫コーナー4

国際児童文学館手塚治虫コーナー5

国際児童文学館手塚治虫コーナー6

国際児童文学館6

国際児童文学館12

国際児童文学館7

国際児童文学館9

国際児童文学館8

国際児童文学館11

国際児童文学館13

国際児童文学館14

一年半前は存続のための署名活動をしたり、ブログを通して自分の考えを伝えたりしたこともありましたが、廃止が決定的になったことで、諦めの気持ちからそれすらしなくなり、ここ1年あまり、児童文学館へ足を運ぶことすらありませんでした。結局のところ議会制民主主義のもとでは、8万5千人の府民が廃止に反対したって870万人の無関心な府民に負ける。いくら頑張っても惜しんでも、どうすることもできない。知的アーカイブが公共で支えられていることの意味や価値は、分からない人には何を言っても無駄でどんなに言葉を尽くしても理解してもらえない。

「好き」の反対は「嫌い」ではなく「無関心」です。
国際児童文学館の廃止をとめることができなかった最大の理由は、結局のところ大多数の府民の関心の低さにあります。

文学館のことをよく知りもせず「マンガ喫茶」と揶揄し、潰しにかかるために「無駄」というレッテルを貼っていった府のやり方は理不尽きわまりないものです。
まさに「光ある所には影がある」大阪府政の影の部分が国際児童文学館の廃館だったように思います。

なんでこんなことになったんだろう?という悔しい思いは今でもあります。
時を同じくしてワッハ上方と明暗が分かれたことを思うとやりきれない気持ちでいっぱいです。
最後の向川幹雄館長の挨拶は、驚くほど怒りと悲しみに満ちたものでした。

「皆さま今日は遅くまでありがとうございました。
心ならずも当館は今日で閉館します。
皆さまには申し訳ない気持ちでいっぱいです。
職員の方々は一生懸命文学館のことを考え、もちろん休日を返上して当館を運営してくださいました。
平凡ですが、感謝の言葉もない。代わりに腹が立ってしようがない気持ちです。
いつか、また、もういっぺん文学館の再生をしたい。
どうぞ応援をよろしくお願いいたします。
今日はどうもありがとうございました。」



国際児童文学館15

国際児童文学館17

国際児童文学館18

国際児童文学館19

国際児童文学館16

【過去の国際児童文学館に関する、のりみ通信の記事】

大阪府立国際児童文学館存続のお願い!
専門図書館がある意味とは
丸山昭氏×宮本大人氏トークin国際児童文学館




国際児童文学館閉館のニュースは毎日放送、ABC放送、関西テレビ、読売テレビの各社とも27日の夕方のニュースで短く放映されましたが、下記日程で特集があるそうです。(実は全社の報道の人に放映日時を聞いてまわりました^^;)

12月28日18:00~「スーパーニュース アンカー」関西テレビ
1月6日18;20~「VOICE」毎日放送

■27日のMBSニュース動画が見れます。

橋下知事が廃止を決めた大阪府立国際児童文学館が27日閉館しました。最後に訪れた人からは閉館を惜しむ声が聞かれました。

 吹田市にある大阪府立国際児童文学館は、25年前にオープンし、国内外から児童文学書などを収集して展示、貸し出しをしてきました。

 大阪府が年間1億9,000万円かけて運営していましたが、来館者が少ないことなどから橋下知事が廃止を決めました。

「資料はいちど分散すると、戻すのは絶対に不可能なので、すごくもったいない」(利用者)
「断腸の思い。世界に子供の文化を発信してきた、つぶれてしまうのは悲しいだけ。それ以上言いようがない」(向川幹雄館長)

 廃止は来年3月末ですが、図書の整理などのため27日で閉館となりました。

 所蔵されている資料は、東大阪市の府立中央図書館に移され、来年5月ごろをめどに再び展示される予定です。





【12月28日の朝刊より】

朝日新聞 「大阪の児童文学館、25年の歴史に幕 橋下改革の一環」

国際児童文学館の最後の読み聞かせには100人以上の親子が詰めかけ、職員らに花束が贈られた=大阪府吹田市

国際児童文学館の最終日、多くの親子らが訪れ、じっくりと絵本に見入っていた=大阪府吹田市
 大阪府立国際児童文学館(吹田市)が、府立中央図書館(東大阪市)への移転準備のため、27日に閉館した。橋下徹知事による改革の一環で廃止が決まり、多くの文化人や府民らが存続を求める運動を続けてきたが、25年の歴史に幕を閉じた。

 この日、最後となった恒例の絵本の読み聞かせに100人以上が訪れた。2人の娘を連れてほぼ毎週通った大阪府茨木市の主婦近藤志子(ゆきこ)さん(40)は「おかげで娘は自然と本好きになった。閉館はすごく残念」と惜しんだ。

 午後5時に閉館時間を迎えたが、長年のファンが職員らと記念撮影。向川(むこうがわ)幹雄館長があいさつし、「心ならずも閉館となり、誠に申し訳ない限り。いつかまた再生したい」と声を詰まらせた。

 同館は1984年、万博記念公園内にオープン。児童書、マンガなど約70万点を所蔵する全国有数の施設だったが、入館者が年約5万人に落ち込み、橋下知事が廃止を決めた。図書を寄贈した文学者らが反発し、寄贈本の返還を求めて訴訟を起こしている。





毎日新聞 国際児童文学館:27日閉館へ 財政再建の一環で

 大阪府の財政再建の一環で来年3月末での廃止が決まった府立国際児童文学館(吹田市)が、27日を最後に閉館する。子ども向けの絵本やマンガ、原画などの所蔵資料約70万点は府立中央図書館(東大阪市)に運ばれて保存され、来年5月ごろから一部資料は公開される。

 国際児童文学館は、児童文学研究者の鳥越信さん(80)の所蔵資料12万点を元にして84年に開館。資料全体の約6割は研究者や出版社からの寄贈だが、廃止・移転に反対する作家や研究者、出版社側から移転後に寄贈が受けられるかは不明だ。

 府は「3年程度の移行期間を経て、中央図書館司書による新たなマネジメント体制により、子どもの読書推進を強化する」としており、児童文学の知識のある専門員は大半が解雇されるため、これまで実施してきたワークショップなどの企画の運営も困難になる。また同館をめぐっては、鳥越さんらが寄贈した資料の返還を求めて大阪地裁に提訴している。





読売新聞 国際児童文学館27日閉館…「誇れる施設」惜しむ声

親子連れでにぎわう国際児童文学館(大阪府吹田市で)=浜井孝幸撮影 大阪府の財政難から橋下徹知事が来年3月末での廃止を決めた府立国際児童文学館(吹田市)が、27日で府立中央図書館(東大阪市)への資料移転準備のため閉館し、25年の歴史に幕を下ろす。約71万点の書籍・資料を収蔵する同館の廃止には、文化人や住民らから「橋下知事の文化軽視だ」として反対運動もあった。府側は「移転で利便性は増す」とするが、利用者からは「なぜ廃止を急ぐのか」との声もなお少なくない。

 1階の閲覧室は26日も、絵本や紙芝居を子どもに読み聞かせる家族連れでにぎわった。家族で訪れた兵庫県加古川市の女性(38)は「素晴らしい施設。本当になくなってしまうんですか」と残念そうに話した。

 宮沢賢治の童話集「注文の多い料理店」の初版本や、長嶋茂雄さんが表紙の「週刊少年サンデー」の創刊号など貴重な収蔵品も多く、吹田市の主婦(66)も「全国に誇れる施設だったのに」と惜しんだ。

 解雇される運営財団の職員約10人の再就職先や廃止後の建物をどうするかなども決まっておらず、向川幹雄館長は今も、「性急に廃止する必要はない。橋下知事は方針を凍結するべきだ」と訴えている。

 同館は児童文学研究家の鳥越信さん(80)が寄贈した約12万点の資料を基に1984年設立。開館直後は年10万人以上いた利用者が、最近は5、6万人に減り、橋下知事は「運営努力が足りない」と2008年6月に廃止を決めた。鳥越さんらは寄贈資料の返還を求め、民事訴訟で争っている。
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://norimi.blog45.fc2.com/tb.php/490-8f259d75