7月18日、兵庫県立芸術文化センターの公演・わらび座ミュージカル「アトム」を観に行ってきました。
http://www.warabi.jp/
http://www.warabi.jp/atom/

わらび座アトム8

手塚ワールドの舞台脚本を何度も手掛けられてきた横内謙介さんが描く「アトム」!原作を忠実に描くだけではどんなに上手く演じても原作を越えることはできません。でも、横内さんの場合手塚先生の原作どおり描くわけでなく、横内ワールドの中に手塚イズムの神髄を織り込むような脚本で、いつも感動させられます。12年前に見た横内さん脚本の舞台「陽だまりの樹」。今でも私は手塚原作の舞台の中ではこの「陽だまりの樹」が一番の最高傑作だと思っています。あの感動が忘れられず、横内さんの舞台は何度も観に行くようになりました。

その横内さんがいったい舞台「アトム」でどんな答えを出してくれるのか―

横内謙介さんが自身のブログに脚本執筆についての悩みを語っています。
http://www.tobiraza.co.jp/blog/index.php?date=2010-06-13

「オッサンがやるとぜったい気持ち悪いし、かと言って、若い小さな女の子、がやっても、プロレスパンツ問題があるし。しかし万が一、あのコスの似合う、可愛い男の子が、みつかっても、ぜったい空なんか飛べないし。」(横内謙介Diaryより)
いや、黒パンツアトムだけは絶対回避して正解でしょう(笑)。下手したらアンパンマンショーみたいなお子様向けの「アトム」を想像する人がいそうですが、今回のミュージカル「アトム」はそんなことは絶対ありません。大人向けミュージカルで、綺麗なラブストーリーに仕上がっていました。
 
「この舞台はアトム版ウェストサイドストーリー。」と横内謙介さんは語っています。

アトムが活躍した頃はとうに過ぎた未来。ロボット達は皆、人間を傷つけないようにパワーを低くされているという設定。人間に虐げられた介護ロボット・アズリと自由のないお嬢様生活をおくる人間マリアとの恋愛。それを許さない人間によって引き裂かれる愛、そしてロボット達の復讐…。お話は結構ベタなんですが、メロディーとダンスでテンポよく流れるシンプルなストーリーはストレートに伝わってきました。
 
一番気になったのがアトムの出し方。そう来たかー!と思いました。空も飛べないし10万馬力でもない、人間よりも力の無い召使ロボット・トキオに埋め込まれた電子頭脳が実はアトム。お茶の水博士の最後の弟子・神楽坂町子から「アトムはここにいる」と告白され動揺するトキオ。でも最後は10万馬力のアトムの身体に戻ることを自ら拒否。「アトムの身体になっても僕は戦わない。僕は歌う。」アトムは勧善懲悪のヒーローではない、人間とロボットとの間で悩み苦しみ涙するアトム。手塚先生が本当に「アトム」で描きたかったアトムはこういうことなんじゃないか。手塚先生が「青騎士の巻」で上手く結論づけられなかったことを横内謙介さんが未来の姿のアトムで描いてくれた、そんな気がしました。

でもストーリー上気になってしまった箇所は結構ありました。まず、トキオはアトムの心を持っているのになんでアトムの記憶を引き継いでないのか?ということ。いや、トキオがアトムとすればアトムの記憶もまるまる引き継いでいてもストーリーは成立すると思ったのですが…。それから、恋人のアズリを殺されて嘆くマリアが、ロボット達の復讐に対して「アズリはそんなこと望んでない」というシーン。これまた普通恋人殺されたら、殺した相手を憎むでしょー!とツッコミ。もう少し人間である自分とアズリに対する愛情との板挟みになった複雑な感情の部分を丁寧に描いてもよかったかなあと。ロボット達をとめようとするトキオにももう少し説得力のある台詞を言って欲しかった。あと、人間を殴る力を持ってしまった怪力ロボット・ダッタンが自爆してしまうという設定。どうも、無理矢理「泣き場」を作ってしまった感が否めませんでした。
 
しかし歌とダンスは全く申し分なし。特に気に入ったミュージカルナンバーは「ジェット噴射で飛ぶように」と「アイラブユー」の2曲。オープニング曲の「ジェット噴射で飛ぶように」はすごくワクワクします♪歌詞に「ラララ星の彼方」とアトムを彷彿とさせる歌詞を織り込んでいるのがいいですね。

舞台演出にも手塚的アソビ心がたくさんありました。ロボット達のたまり場にはアトムの目覚まし時計。そして神楽坂博士の屋敷で描けている絵はウランちゃん。星空にもアトムのシルエット。最後のカーテンコールでアトムの人形が上からぶら下がっていたのですが…2階席からはアトムの足しか見えなかった!もっと下げてくれないと~!

登場人物もオリジナルながら、手塚ワールドを彷彿とさせるものでした。お茶の水博士の弟子だから「神楽坂」。神楽坂博士は一見コワモテで威厳がある女科学者ながら、実は心根がすごく優しくて、トキオのことを本当に愛している。ロボットのパワーを制限しなければならない世の中において、それでもアトムだけは守りたかった。アトムの心=電子頭脳だけは守りとおすために記憶を消してトキオに埋め込んだ。トキオはやっぱ天馬博士の亡き息子・トビオからのネーミングでしょうか?アズリは舞台の中で「僕は医者になりたい」と言ってたし、これは「火の鳥 黎明編」のグズリからかなあ?スーラ博士は、ロボットの違法改造に手をそめるロボット学者…天馬博士を彷彿とさせる圧倒的な存在感でした!そして人間を憎み、暴力で立ち向かっていこうとするロボット・ダッタンは本作品のベースになった「鉄腕アトム 青騎士の巻」の青騎士ブルーボンからイメージされたキャラクターでしょう。

わらび座アトム9

終演後ロビーでは出演者の方々がお出迎え!トキオ役の良知真次さんと神楽坂町子役の椿千代さんのサイン会があったので私も長蛇の列に並びサインをいただきました☆

わらび座アトム13

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出演者の方々は記念撮影に快く応じて下さいました。いいなあ、こういうフレンドリーな雰囲気はホントに出演者との距離感が近くていい。

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歌のお兄さんこと速水けんたろうさん。悪役・スーラ博士は天馬博士を彷彿とさせる圧倒的な存在感でした!

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マリア役の五十嵐可絵さん。とってもチャーミングでかわいい♪

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人間を憎むロボット・ダッタン。この頭をに役者魂を感じます(笑)

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ダッタンの左手(笑)

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アズリ役の柳瀬亮輔さん。

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神楽坂町子役の椿千代さん。

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西宮をあとにし梅田で晩ご飯を食べながら、マイミクの金沢みやおさんと夫と私の3人で本日の公演の感想を。みやおさんとうちの夫は現実的で手厳しい感想ばかり言うので、私が「え~!面白かったやんか~!」とムキになるという展開に(笑)。




知り合いの手塚治虫FC会員の日記。こちらも是非お読みください。

アリトホリクズ わらび座「アトム」
http://xia-xia.jugem.jp/?eid=202
手塚FC会員のからくりさんの日記です。「ブリキの心にラブソングを。」と描いた舞台のイメージイラストが素晴らしい!!愛ですね、愛!!
「一言で言えば、とても好きな“アトム”翻案ものでした。」私も全く同感です。

TAGEBUCH 【手塚作品関連】 舞台鑑賞なう
http://rockers777.blog79.fc2.com/blog-entry-247.html
同じく手塚FC会員のROCKERさんの日記。

「確かこのブログでも期待薄なので観にいかねえとかほざいていたかと思います。
 何故かというと、実写のアトムというと、最悪パンツいっちょのおっさんか、
 ましなところで着ぐるみの実写版アトムを連想していたから(無礼すぎる)

 ・・・否!!百聞は一見に如かずというか、
 実際に観に行って本当に良かったと思います・・・!!!」


のコメントに爆笑!!さすがにパンツいっちょのおっさんは無いやろ~。




手塚プロのHPでも特集がありますのでぜひ参考に。

「虫ん坊」2010年4月号
http://tezukaosamu.net/jp/mushi/201004/special2.html
「虫ん坊」2010年5月号
http://tezukaosamu.net/jp/mushi/201005/special1.html

制作発表
http://www.warabi.jp/atom/seisakuhappyou01.html

ミュージカル「アトム」制作発表(2010.03.23) 1/2  
http://www.youtube.com/watch?v=WUWhcCATYJo

ミュージカル「アトム」制作発表(2010.03.23) 2/2  
http://www.youtube.com/watch?v=uoWCqG9J368

ミュージカル『アトム』に出演された トキオ役の良知真次さんとマリア役の五十嵐可絵さんによるPR
http://www.youtube.com/watch?v=9vD3bfVq2jI&feature=related





今週末、手塚治虫記念館でわらび座パフォーマンスコンサートがあります。こちらも行く予定!誰か一緒に行きませんか?

■ミュージカル「アトム」 わらび座 パフォーマンスコンサート in 手塚治虫記念館
http://tezukaosamu.net/jp/news/n_471.html
開催日時:2010年7月24日(土)13時開演(上演時間約40分)
場所:手塚治虫記念館 エントランスホール
費用:無料(入館料別途)
出演者:三重野葵(トキオ)、碓井涼子(マリア)、岡村雄三(スーラ)、神谷あすみ(チータン)(いずれも全国公演キャスト)
内容:ミュージカルナンバー「ジェット噴射で飛ぶように」「アイラブユー」ほか


わらび座ミュージカル「アトム」は来年まで2年にわたっての全国公演があるそうです。
地元で公演があるならぜひ観に行って下さい!




■今後の「アトム」公演(主に関西を中心に書いておきます)

7月23日(金) 18:30
吹田市文化会館 メイシアター

8月6日(金)18:40
貝塚市民文化会館コスモスシアター

8月7日(土)
多可町文化会館ベティホール

8月8日(日)14:00
川西市みつなかホール

9月4日(土) 15:30
三重県文化会館 中ホール

9月25日(土)14:00
新潟県民会館 大ホール

9月23日(木) 15:00
アクトシティ浜松 大ホール

10月3日(日)14:00
堺市民会館大ホール

12月11日(土) 15:00
沼津市民文化センター 大ホール
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