大変遅まきながら、10月30日の手塚ファン大会レポートです。
夫の日記より転載。




10月30日、手塚治虫ファン大会に行ってきた。時間ギリギリに着いたもんだから、高田馬場からタクシーで会場に向かう。お、なんや行列がでけとるがな。「行列の出来るファン大会」や。良かった良かった。いつもの知己の会員諸兄姉に、次々ご挨拶。行列を見て安堵するも、いざ入口から会場である中学校と狭い校庭を見やると、やっぱり思わず「ファン大会もショボくなったもんやなぁ…」校庭に向かって左側にはテントが並び、軽食やら米野菜が販売されている。校庭の中央には休憩所。なんだか学校のバザーみてえだな。

手塚ファン大会2011

受付で手渡されたファン大会パンフには「2011BABAFEST 手塚治虫関連イベントガイド」とあって、ますます悲しくなった。関連のイベントって…。手塚ファン大会がメインじゃないというこの現実!別に高田馬場フェス目当てに上京したんじゃねえぞ!米野菜を買いに上京したんじゃねえぞ!

12時より、新作ブラック・ジャック(OVA版)のダイジェスト上映とトークショー。OVA版ブラック・ジャックは、今回でファイナルだそうな。ファイナルってぇ事は、取り上げた話は「人生という名のSL」かいなと思いきや、「おとずれた思い出」であった。夢のまた夢を言うならば、どうせやるんだったら同じブラック・ジャックでも加山雄三とか宍戸錠、片平なぎさをゲストで呼んできて欲しかったな。その場だけ司会は田中邦衛でよ。そうすりゃ席も埋まったんじゃないか?ただし聴衆の平均年齢はグッと上がるだろうけどね。

などと非現実的な妄想を掻き立てつつ、昼休憩では「手塚先生が開発した上海焼きそば」なんぞをつついて、会員諸兄と歓談。手塚先生が焼きそば開発なんて初耳だったが、なかなかイケた。

一番飯店焼きそば


このフェスティバルではコスプレ参加も募られてたので、そこかしこにブラック・ジャック先生やお茶の水博士、そして着ぐるみだが学生服姿のアトムなんかが佇んでいた。私が手塚コスプレするとしたら、そうやなぁ、チェック柄の襟シャツにスラックス&ジャケットで般若の面を被り、手塚先生顔クッションの口の部分に赤マジックで血を描いた奴でも持って突っ立っとくか 。

14時から「2年1組教室」にて復刻漫画座談会。幻の連載時オリジナル版復刻や、初期作品復刻を手がけられている小学館クリエイティブと復刊ドットコムの編集者氏と、手塚プロからは「生き字引」森晴路さんをゲストに招き、ファンクラブ会誌のインタビュー記事で名前だけは存じ上げていた濱田高志さんの司会で復刻の苦労話・逸話・今後の計画などが展開された。 手塚先生の場合、単行本化でセリフは勿論、話の筋まで大幅に描き変えたりされるんで、初出時を読んでみたいという欲求はあるものの、追いかけるのが大変。お金も大変。だから熱あげるまでに至らず頓挫してしまっている。ただ、復刊作業の苦労は、私も入社当初は「原稿制作部」で、ちっとは編集制作に携わった人間なもんだから、共感できるところ大であった。内藤陳は「捨てられないね、本は。書いた人作った人の苦労がよくわかるからさ」といった意味のコメントを何かのインタビューで述べていたが、私も少しは編集の苦労を味わっているだけに買いたいんだけど、なんせ先立つものがね…(苦笑)。

続いては、同じ教室で「新作漫画秘話」。『チャンピオン』誌で連載され、先ごろ単行本化された『ブラック・ジャック創作秘話』について、漫画原作者の宮崎克氏・漫画家の吉本浩二氏を招いての「『ブラック・ジャック創作秘話』の秘話」を語ってもらうコーナー。私もあの連載は面白く読んだもんだから、漫画に描けなかった色んな裏エピソードが縦横無尽に開陳されるんじゃないかと期待していた。しかし、漫画家さんの方が、こういう人前に出てというのは不慣れでいらっしゃるのか司会者の質問にも短答で終わり、話が広がらず、結局、なんとなく尾木ママに似た原作者・宮崎氏がメインで喋る形になってしまっていた。それはそれで面白かったんだけど。

あの名物編集長カベさん(故・壁村耐三氏)の話も出るのかな…と期待してたら、やっぱり出た!司会の砂口姐さんが振ってきた。やっぱりあの漫画において、手塚先生に唯一拮抗し得る強烈キャラ・カベさんは外せねえ。宮崎“尾木ママ”克氏の口からポンポン飛び出すカベさん逸話に興味津々。

トキワ荘時代に手塚先生を殴ったとか、手塚先生が無類のケーサー好きであるカベさんに酒を振る舞って酔い潰させてから逃げようと企み、ウィスキーのボトルを進呈したが、カベさんは丸々1本飲み干しても全く酔わず、手塚先生のトンズラ作戦は失敗した、といった話は浦メも聞いた事がある。だが、手塚先生の襟首を掴んで「この野郎、オモテ出ろ!」というのを悦子夫人が泣いて止めたとか、シラフの時は猫のように大人しかったらしいけど常時酒を飲んでたので「猫のように大人しいカベさん」を見た者は細君以外いないとか、何故だか左手の小指を薬指の下に隠していて「あれは若い時分にエンコ(小指)詰めたんだ」と噂された、なんて逸話は初耳で、オモロカッタわぁ。ただそこに立ってるだけで威圧感があるってのは、なんとなく分かるような気がする。オモロイけど、上司には持ちたくねえな。

ところでパンフレットにはもう一人、出演者として手塚プロ・清水義裕プロデューサーの名があったのだが、その姿が見えない。壇上のゲスト席にもネームプレートがない。…と思っていたら、砂口さんの軽妙な紹介で、客席の最前列から清水プロデューサー登場。自分でネームプレート持っててそれをチョンと席に置き、顔にはブラック・ジャック仕様の傷を「フェイスペイント」。場内が軽くドヨメイタが、大ウケしてたのはうちのカミさんだった。そこからは清水さんの独壇場。あの頃の70年代後半の熱気を、狭い教室で再現して聞かせてくれた。

最後は「秘蔵映像上映会」。今回上映されたのは、「青いトリトン」パイロットフィルム・「サンダーマスク」パイロットフィルム・「おかしな一日」の3本。まさか動く「青いトリトン」が見れるとわな! これだけで上京の元が取れた気分だ。 しかし分からないのは、小学館の『手塚治虫大百科』の巻頭カラーで紹介されてたトリトンはえらい大人びた表情だったように記憶しているのだが、今回のトリトンは小さな少年だったという事。まさか2種類作られたんだろうか? 謎は深まったが、その分今後お目にかかれるかもしれないという楽しみも増えたってもんだ。BGMも、本編における鈴木“コルゲン”宏昌の余りに有名なそれとは違っていたが(アタリマエだな、パイロットやもんな)、軽快なメロデーで、これはこれでOKだった。

「サンダーマスク」は、司会者はパイロットと言っていたが、あれは本編第2話だ(と思った)。手塚先生が無理矢理描いた原作漫画にも一部登場するタイヤ魔獣・タイヤーマだ。それにサンダーマスクのパイロットとして作られたのが、前のファン大会でも上映された「魔人ガロン」なんだから、サンダーマスクのパイロット版がサンダーマスクというのはあり得ない筈だ。

「おかしな一日」は、これも大百科などでタイトルだけは見知っていた。 あれは確か、千里万博か何かの博覧会で上映された筈だけど思い出せなかった。(帰宅後、ウィキペディアを開くと、やはり千里の万博だった。セイコー館で上映されたものであった) 無声映画だったのは、当時弁士か何かがおって上映の度に解説してたのか、出展企業の予算上の問題でボイスアクターまで雇えなかったのかな?

大ラスは、恒例の鉄腕アトム大合唱かいなと思いきや、売店で売れ残ったアトム型栗饅頭、その名も「くりまんアトム」の即席販売で締め括られた。しかも売り子は清水プロデューサー。

くりまんアトム

くりまんアトム2


終了後は、知己のファンクラブ会員さん達と高田馬場サイゼリヤに集合し、ワインやらパスタやらをパクパクやりつつ歓談。超突貫工事であっただろう事は容易に想像がつく中で、スタッフのご苦労たるや並大抵ならざるものこれあり、と感謝しつつ帰阪。皆様、また来年。

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