午後1時、いよいよ「マンガ未来世紀」の開幕です。

開会の挨拶は手塚治虫先生のご子息・手塚眞さん

「手塚治虫文化賞」の名前を付けたのは手塚眞さんなんだそうです。初耳でした♪
外国人の知り合いが日本で「外でエレキギターをうるさく弾いている奴がいる」。よく聞いてみるとそれはギターではなく、蝉の声だったという話。日本では芭蕉の「閑さや 岩にしみ入 蝉の声」で知られるように日本ではうるさい蝉の声に静けさを感じる。このように、「文化」とは国によって違う価値観があり、マンガを「文化」として捉えるのも日本ならではのもの。今や日本の文化となっているマンガを世界に発信していきましょう、といった内容。



第1部 極私的マンガ事情2006
荒俣宏氏いしかわじゅん氏


ひと言で言えばいしかわさん独特のゆるゆるトークで(笑)。これは「マンガ夜話」ですかっ!?な感じで始まった第1部。

内容は「手塚治虫文化賞」の選考にあたっての裏話なのですが、最初は審査員同士顔をあわせることなく「投票」で決めていたものの、途中からは「談合」(笑)で決めることに。しきりに「談合」を連発していたのがおもしろかった。何より困ったのは予想通り浦沢直樹氏の『PLUTO』。『MONSTER』に続く2度目な上、手塚原作の作品を手塚治虫文化賞にしちゃっていいのか?しかも、まだ2巻が出たばっかりで。
しかし、圧倒的なおもしろさに大賞に決まったとの事。
(参照:夏目房之介さんのブログ『PLUTO』2巻発売
そして、今年の大賞・吾妻ひでお氏の『失踪日記』。
全部実話です(笑)って表紙に書いてあるけど、実際は笑いにしなきゃやってられないくらい悲惨だったらしくって。」と吾妻さんを心配されていたご様子。
「行方不明になっていたんだけど、最終的にクリエーターとしては描かずにいられなかったんだな。あれが結果的には取材旅行だったんだよね。でもそれで大賞取れて本当によかったよねー。」って話で時間オーバー、終了(笑)。


第2部 画力対決七番勝負~二人とも、ほんとに美大出身なんですか?
しりあがり寿氏西原理恵子氏


しりあがりさんと西原さんが手塚キャラの絵を何も資料を見ずにスケッチブックに即興で描くというテーマ。

司会 「お二人とも美大出身で。しりあがりさんはタマビ(多摩美術大学)、西原さんはムサビ(武蔵野美術大学)。お二人の共通点といえば、ヘタウマというわれている点ですよね。」

しりあがりさんはベレー帽にメガネという明らかに手塚先生を意識した格好、西原さんは、割烹着を着た「毎日かあさん」な格好でのご出演。

このマンガ家お二人に出されたお題。

まずはバカボンのパパ。しりあがりさんは鉢巻が若干でかい点をのぞいては上手かった。西原さんのは口が四角くてでかかった(爆)。
最初、「バガボンド描けますか?」って話がなぜか「バカボンなら描けるよ」ってなって(笑)。

さて、ここから先は本題の手塚キャラ。アトム、サファイア、火の鳥、レオ、ブラック・ジャック、ヒョウタンツギ、スパイダー(オムカエデゴンス)、手塚先生の顔。

会場内大爆笑の渦でした。お二人ともめっちゃ自己流。ていうか手塚キャラとは似ても似つかん絵で笑えてしかたがなかった。
(すみません、ごめんなさい、けなしているわけじゃないんです、褒めているんです・爆)

だってしりあがりさんのサファイアなんてちょうちんブルマはいてるし、帽子ながなくて直接頭にリボンつけてるし、西原さんのヒョウタンツギなんてブタ鼻がないし。B・Jは二人ともツギの向きが逆。西原さんのB・Jは髪の白黒も逆だったし、真っ黒なてるてる坊主みたいだった。しりあがりさんのレオはどっから見ても「ただのライオン」で、黒耳や黒いしっぽという基本的なレオの特徴とはかけはなれていて(^^;)西原さんの火の鳥は外国の民芸品みたいだったけどかわいかったなあ♪

この後に「宇宙戦艦ヤマトを描いてください」という超難題にお二人ともかなりくらいついていました。(描けといわれても描けませんよ、ヤマトは)でも西原さんのヤマトの傍にはなぜかメーテルが!?(笑)。
 
最後に荒俣宏さんの似顔絵を描いて第2部終了。

「手塚マンガの絵だったら僕のほうが上手いんだけどねえ。上手くちゃおもしろくないって言われて…。」と夏目さん。



第3部 手塚治虫から続く道 21世紀の漫画家たち
萩尾望都氏浦沢直樹氏夏目房之介氏


第2部の内容をうける形で浦沢先生のアトムが披露され、会場からは「お~っ!」という感心の声が。そもそも浦沢先生は手塚マンガの完全なコピーから始まり、それが顕著にあらわれているのが、豪華版『PLUTO』3巻の付録として付いた構想ノート。この作品を見ると、手塚先生の『安達が原』にそっくり!荒野のひび割れや真っ黒な空、鬼婆とのやりとりなど、モロに70年代の手塚にそっくりなのがわかります。そして、大友克洋氏の影響を受けて今の絵になったそうなのです。
(参照:夏目さんのブログの『PLUTO』3巻に!

それにしても、浦沢先生ってすごい。「サイボーグ009」の島村ジョーをサラサラと。さらに大友タッチの人間(若干上から見下ろした人間の後姿)を書き上げ「ここの影をつけたら大友さんの絵になるんです」あまりの画力にただただ客席は感嘆するばかり。この人って本当に天才なんだ、と改めて思った次第です。

それから、手塚先生の『ビッグX』の描き直しについて「ここからここまでのは70年代の絵になっているんだよね」との浦沢先生の指摘にはたまげました!私は雑誌と読み比べすればわかるかもしれないけれど、単行本を普通に読んだだけでどこから絵のタッチが変わっているか(初期ならともかく)60年代と70年代は区別がつきにくくて。浦沢先生って本当に手塚先生の絵をよく研究され、自分の血となり肉となっているんだなあ、と。

自分の中でどのような作家が影響したか、という話で、萩尾望都さんは次のようなマンガ家の絵を描き分け説明されました。
横山光輝さん(の少女マンガ。特に横顔に美しさ)→水野英子さん→矢代まさこさん(ふたつの目の幅が若干狭まってきりっとした印象)。
 
萩尾さんの手塚マンガとの出会いは『新撰組』で、深草丘十郎が、親友・鎌切大作は実はスパイだったと知って思い悩むシーン。たったの2行の台詞に感動をおぼえ、自分の中で妄想がふくらんでいった。以来マンガを読むと妄想癖があるって話がおもしろかったです。

最後の質問コーナーで
「今、気になるマンガは何ですか?」との質問に
「ガラスの仮面はどうなるんでしょうか?」と萩尾望都先生。
会場からはわれんばかりの拍手がっ!(笑)。やっぱり、みんな気になるのねーガラかめの続きが(^^)
 
というわけで、あっという間の4時間半でした。
今回3部構成だったイベントですが、それぞれ全然違う意味のおもしろさがあり、実に有意義なひとときでした。

(次回、会場内での個人的な余談を書きます)

■今回の手塚治虫文化賞記念イベント「マンガ未来世紀」の模様は10月中旬に出版される「ニッポンのマンガ」に収録予定だそうです。で、アクセスしてみてビックリ!な、な、なんと!!米国で発見された、手塚治虫の幻の作品も完全収録。とあるではありませんか!?早まって間違った情報を流すと困るのでひかえますが、めっちゃすごいんじゃないですか!?

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マンガ未来世紀【その1】
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