先日、ミクシィの古い建物好きコミュを見ていて「旧三井邸(講談社別館)の解体が始まったというニュースを知りました。
(営団有楽町線護国寺駅5分 文京区音羽2-29 )

講談社別館と聞いて私の頭の中のマンガデータベースになんとなくひっかかり気になったのですが、その時は思い当たらなかったのです。しかし、その日に届いた竹内オサムさんの研究誌「ビランジ」18号を読んでそれが確信に変わりました。なんと!その解体中の建物とは、手塚先生がよくカンヅメ(〆切間際に作家を一室に軟禁して仕事に集中させること)になっていたあの(!)講談社第一別館だったのです。近代建築好き+手塚ファンとしてはかなりショックです(;-;)
ああ、また手塚治虫先生ゆかりの地がひとつ消える…!
その記事とは、講談社で当時「少女クラブ」の担当編集者をしていた丸山昭さんの記事でした。

マンガの「史跡」が取り壊される!
と冒頭にあり、手塚先生や水野英子さん、ちばてつやさんなどをカンヅメにした際のエピソードなどが綴られていたと同時に、今は無きその瀟洒な洋館写真と手塚先生がカンヅメにされた小部屋の写真なども載っていたのでした。(できればカラーで見たかった!)

ところで、講談社別館と手塚先生とのかかわりについては、検索してみたものの、ネット上には全くと言っていいほど書かれた記事がありませんでした。

そこで、今回の丸山昭氏の記事を僭越ながら引用させていただきます。
旧三井邸

旧三井邸
「講談社別館・余談」               丸山昭氏

マンガの「史跡」が取り壊される!

 以前、このコラムで50年も前の人気マンガ家争奪戦、カンヅメ合戦の話をしました。そのときに、われわれ講談社の編集部では、マンガ家をよくカンヅメにするときは、講談社の裏山にある別館をよく利用していて、さまざまなエピソードが残っていることを書きました。ま、言ってみればこの建物は、当時のマンガ上京の一端を語る「史跡」だと呼んでもいいくらいだと思うんです。

 ところが驚きました。その別館が近く建て替えのために取り壊されることになったんです。そのことをカンヅメ連中だった、ちばてつやさんや水野英子さんに話したところ、「ああ壊す前にもう一度行ってみたいな」となつかしそうに言う。マンガ研究の仲間も、これはマンガ史に残る建物なんだから、話の種にぜひ見学したい、というので、連れ立って行ってきました。

 さすがに月日の経過はきびしい。あの瀟洒な建物も当時とは様子が一変して、畳敷きだったカンヅメ部屋はすべてフローリングに替えられてるし、壁紙がはがれたりひびが走っていたりで、あわれ豪華な洋風建築の面影はもう残ってませんでした。

 そこで、今回はマンガ論議からは脇道に外れて、いささか余談になりますが、この講談社第一別館のことを話させてください。

---中略---

たとえば大御所、手塚治虫先生も常連の一人です。手塚先生の場合には、奥の「隠し部屋」をよく使いました。一階の廊下の突き当たり、ここで建物はおしまいかと思われるところに秘密めいた重い引き戸があって、開けると正面は座敷牢の入り口を思わせる金網張りの格子。その左にこっそりと階段があって、上がっていくと突然仏間風の広い部屋が現れます。建物を一通り見回っただけでは気づかない場所にあるので、私たちは「隠し部屋」と呼んで、要注意人物のカンヅメにはよく使ったんです。

(「ビランジ」18号より)



ちなみに「ビランジ」は切手240円を竹内氏までお送りすれば誰でも読める無料の研究誌ですので、ご興味のある方は是非。私は毎回丸山昭さんの連載が楽しみです。
詳しくはこちら
旧三井邸

旧三井邸

旧三井邸

ああ!それにしてもなんて惜しいことでしょう!
知っていれば取り壊し前に見に行ったのに…!
もう二度とお目にかかれないかと思うと残念でなりません。

有形文化財登録されてない歴史建築っていとも簡単に無くなってしまいまうんですね。三年後には大阪でもダイビルの解体が決まっていますし…。しかも、反対運動を恐れて大々的に発表されておらず、すぐに一気に潰しちゃう。だから写真や記録がなかなか残らない。今回の講談社第一別館(旧三井邸)はまさにそうだった気がします。もう少し前にきっちり発表されていたら、もっと写真がネット上にあると思うんですが…。ありがたいことに、旧阪急梅田駅コンコースは最後の日から完全閉鎖まで10ヶ月の猶予があったんです。だから、その10ヶ月間、私は絵、写真、文章などで記録し続けることができました。

なんか、歴史建築の解体においていつも思うのですが、建物が無くなる(=亡くなる)時、にわかに注目をあびます。その際、きっちりいろんな意味での記録をとっておくことってすごく大事な気がします。

■講談社別館(旧三井邸)の写真は
小道さんのブログ 喫茶店で瞑想して、 銭湯で元気になる
よりお借りいたしました。
本当にありがとうございましたm(_ _)m



【参照】
「まちかど逍遥」講談社旧館(東京歩き)

喫茶店で瞑想して、 銭湯で元気になる
夏の記憶1
夏の記憶2
夏の記憶3
夏の記憶4
夏の記憶5
(▲特に貴重な写真が多く掲載されており、見れなかった私はありがたく拝見いたしました!)

月刊「少年シリウス」7月11日
歴史~飛耳長目~旧三井邸解体始まる
『重文級』反対の声も(東京新聞2006-08-10)

デメリン.com 講談社第一別館(1)
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